エピクロス-快楽主義の祖

哲学者

エピクロスについて

エピクロスはアタラクシア(ataraxia)精神の平静を中心に自身の哲学を生み出した人です。エピクロスは、人生の究極の目的は喜びや快楽を追求し、苦痛を避けることであると考えました。しかし、彼が考える「快楽」は放縦や享楽的なものではなく、精神の平和や安定を指します。そのため、快楽主義と聞くと大抵の人は誤解してしまいます。

エピクロスの哲学は、後のヘレニズム時代やローマ時代に多大な影響を与えました。特に、ローマの詩人ルクレティウスは、エピクロスの思想を基に『物の性質について』という詩を書きました。エピクロスの教えは、現代においても、人々の幸福や生きがいを考える上での参考となるものが多く含まれています。

快楽主義について

ヘドネー(hedone)古代ギリシャ語で快楽。エピクロスは、快楽と苦痛を人生の基準として位置づけました。しかし、彼は身体的な快楽よりも精神的な快楽を重視しました。

精神的な快楽とは、物理的な感覚や外部の刺激によるものではなく、心や精神に起因する喜びや満足感を指します。これは、物質的な欲求や身体的な快楽とは異なる、より内面的な喜びや安らぎを意味します。以下は、精神的な快楽の例です。

  1. 知識の獲得
    本を読むことや学ぶことから得られる満足感や啓発。
  2. 人間関係の深化
    友人や家族との良好な関係や深い会話から得られる喜び。
  3. 達成感
    目標を達成したときや、困難を乗り越えたときの満足感。
  4. 瞑想や内省
    瞑想を通じて得られる平和な心の状態や、自己理解を深めることから得られる満足感。
  5. 感謝の感情
    他者や自分の生活に対する感謝の気持ち。
  6. 芸術や音楽の鑑賞
    美しい絵画や感動的な音楽を鑑賞することから得られる喜び。
  7. 自己成長
    自分自身の成長や進化を感じることから得られる喜び。

これらの精神的な快楽は、物質的なものや外部の環境に依存することなく、自分自身の内面や心の状態から得られるものです。エピクロスの哲学においては、このような精神的な快楽が、人生における真の喜びや幸福をもたらすとされています。

エピクロスの哲学

エピクロ(341-270 B.C.E.)の哲学は、完全で相互依存するシステムでありながら人間の生活の目的(物理的な痛みと精神的な混乱の欠如からの幸福)、経験主義の知識理論(感覚、快楽と痛みの知覚は確実な基準)、原子論に基づく自然の説明、そして世界の形成から人間社会の出現までの進化の自然主義的な説明を含んでいます。

エピクロスは、プラトンのアイデアや形態などの超越的な実体を排除する急進的な物質主義に基づいて、死後の魂の生存の可能性、そしてその結果としての死後の罰の可能性を否定できると信じていたようです。彼は、死と罰の認識されていない恐怖を、人間の中での不安の主要な原因と見なし、不安を極端で非合理的な欲望の源と見なしていました。

恐怖と対応する欲望の排除は、人々が自然に引き寄せられる快楽、物理的および精神的なものを追求する自由を残し、それらが定期的に期待され、達成されることに続く心の平和を楽しむことができると考えました。エピクロスは、深く根付いた思考の習慣が簡単に修正されないことを認識していたため、初心者を支援するためのさまざまな演習を提案しました。

このような点から、エピクロス派とストア派は相反する主義であるように考えてしまう人が多いのですが、基本的な概念はかなり近いものがあり、どちらもアタラクシアを中心に据えています。

エピクロス哲学の中で、アタラクシアは「心の平和」または「精神的な不安の不在」として説明されることが多いです。彼の哲学の中心的な目標は、物理的な痛みと精神的な不安の両方を除去することであり、アタラクシアはこの目標を達成するための理想的な状態として見なされていました。

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